1億ドルの記憶
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    1億ドルの記憶

  きみはドアを大きく開き、室内に入った。手を離すと、ドアは自然にしまる。

  壁にそって部屋を一まわりしてみたが、新たな発見はない。カビくさい空気が淀んでい

るだけだ。

  きみは次に、部屋のまん中、例の天井の穴の真下に立った。穴の奥を見ようと顔を上げ

たとき、シュッという音とともに、ふいに穴から風が吹き込んだ。その風は一瞬でやんだ

が、わずかに色がついていた。きみの目には、黄色を含んだ灰色に見えた。

  ほんの2〜3秒後、地震が起きた。床が、波打つように、揺れ始めた。

  しかしそれはきみの錯覚だった。部屋が揺れているのではなく、きみの足元が、そして

意識がふらついているのだ。

(催眠ガス?  毒ガス?)

  少しぼやけた頭で、きみはそう考えた。

(自動ドアのような原理で、あの穴の下に立つとガスが吹き出すのか……)

  きみは床にひざをつき、さらに両手もついた。立っていられなかった。

  だが、きみにはまだチャンスがある。この部屋の装置は、長い間使われておらず、ガス

も補充されていなかったのだ。吹き出したのは、ボンベの底にわずかに残っていたガスだ

った。きみの体質がガスに強ければ――あるいは、一種の免疫があれば――心身ともすぐ

に正常にもどる。

  運試しをしよう。“ガスに勝つ”確率は4/5だ。次の行き先から1つを選べ。