1億ドルの記憶
きみはさらに、いちばん右の箱をあけようとした。そのとき、廊下に足音が聞こえた。
きみは一瞬息をのんだあと、照明のスイッチを切ってその脇の壁にへばりついた。ドア
をあけたとき死角になる位置である。だが、足音はゆったりとしたリズムで、だれかを捜
しているとか追っているとかいう感じではない。
あんのじょう、音は北から南へ――室内からドアを向いて左から右へ――通りすぎて行
った。そして東へ向かって、つまり左折して、聞こえなくなった。その直前、ドアの開閉
のような音もかすかに聞こえた。
足音の主が敵の一味・ガードマン類だとすれば、足音の消えたあたりに“詰め所”があ
るのかもしれない。
最後の箱をまだ見ていないが、きみはこの部屋を出ることにした。
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