1億ドルの記憶
きみは歩きながら洋服のあちこちを探った。かき集めると、
大銭・小銭合わせて、当面行動する程度の現金が出てきた。不
幸中の幸いというか、やつらは物盗り・金盗りではなかったよ
うだ。
金があればもたもた歩く必要はないし、だいいち危険だ。き
みはタクシーを止め、「神田までいくらぐらいか」と確かめて
から、乗り込んだ。
車を降りるとすでに午後になっていた。きみはとりあえず神
田のビジネスホテルにチェックインした。宿帳には適当な名前
を書く。近くの店で着替えを買い、ホテルにクリーニングを頼
む。
白い風の中で長時間眠ったはずのきみだが、緊張がほぐ
れたのか、午前中の活動の疲れが出たのか、横たわるとすぐ深
い眠りに落ちた。
しかし、翌朝目覚めて熱いシャワーを溶びると、心身とも生
気がみなぎってきた。
さて、何はともあれ、自分はいったいどこの何者なのかを調
べなけれぱならない。
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