1億ドルの記憶
相手の番号をプッシュし、ベルが数回鳴ると、男の声が出た。きみは「もしもし、鷹見
さんですか。こちらは……」と言いかけたが、すぐに、向こうは留守番電話だと分かった。
(おや? 聞いたような声だ)
きみは一瞬首をひねった。
とつぜん、頭の中を理解が走る。これは自分の声だ! だれでも、自分の声をテープに
とって聞くと、とても自分の声とは思えない。まして電話なので、気がつくのに時間がか
かった。
テープはきみの声で、こう言っている。
「鷹見秀彰です。8月28日まで香港に行ってます。あなたのお名前とご用件を……」
自分の身元調べをつづける
ひとまず終わる