1億ドルの記憶
きみは、どうしてもあの漂流者たちが気になった。どうも、
タイミングがよすぎる。
きみが海路香港を出たことを、きみを狙う連中が知り、漂流
者を装い、きみに危害を加える目的で船に乗り込んできたのだ
としたら?
(考えすぎかもしれないが、顔を合わさない方が無難だ)
そう思って、きみはそれからの航海中1度も船内レストラン
に行かなかった。食事はすべてルームサービスですませた。
船室のドアはつねに内側からしっかりロックし、食事以外で
船室を出ることも最少限にとどめた。ときには潮風にもあたり
たかったが、ここは我慢のしどころだ。
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