1億ドルの記憶
ドアをあけず、声も音も出さず、きみはようすをみた。とつぜん体あたりの音。2回・ 3回とつづく。 きみは窓を開け、下をのぞきこんだ。しめた! やわらかそうな芝生だ。 荷物――といってもバッグ1つだが――を肩にかけて、きみは窓枠をまたいだ。グシャ ッという音。外の男たちが、消音ピストルでドアのロックを破壊したのだ。 彼らが踏み込んでくるより早く、きみは芝生へ身をおどらせた。すぐ横にホテル建物の 角がある。そこに回り込むと窓からは死角になり、ピストルでも狙えない。 きみはかろうじて難を逃れ、盛り場の雑踏に紛れこんだ。 大香港銀行から日本に送金したことがある 大香港銀行から日本に送金したことはない