1億ドルの記憶
きみは、あわただしくとんぼ帰りで、空路日本へ。成田空港からまっすぐ目黒のマンシ ョンへ急いだ。自分の部屋に着いたのは午後8時だった。 ドアをあけ、部屋に入る。明かりをつける。ドアを内側からロックし、ドアチェーンも つける。そして玄関脇のくつ箱の戸を左右に開く。 香港で細工したくつは、まだそこにあった。とりだして裏返そうとする。が、あせって いるせいか、手からすべり落としてしまった。 拾い上げてかかとを見る。やや? 細い隙間がある。以前はなかったはずだ。 きみはそれをこじあけた。ない。安西から預かった鍵、大香港銀行貸金庫の鍵のコピー がない。 「やられた……」 きみはぼうぜんと玄関に立ちつくした。くつは、ふたたび手からすべり落ちた。鍵は留 守中に盗まれたのだ。やはり光神会か? きみの次の行動は? 警察に盗難届を出す 淀田商事管財人・大滝宗二に会う 1億ドルはあきらめ、沈黙を守る