1億ドルの記憶
きみの動物的カンが、危険信号を発した。きみはイスをいじる手を安め、かびんに近づ いた。 枯れ葉と枯れ茎の間に、無機質な光沢が見えた。顔を寄せて、さらによく見る。コード だ! 手を触れず視線だけで、かびんの外へコードを追う。机の脚のかげを巧みに伝って、コ ードは壁の中へ消えている。 「ずいぶん月並みな手だな」 きみは苦笑しながら机を離れた。あのコードのこちら端、つまりかびんの中には、きっ と隠しマイクがあるのだろう。 いずれ敵と戦わねばならない。そのとき音をたてずにすむだろうか。 次のシーン