1億ドルの記憶
きみはドアをひいた。廊下の明かりがまっくらな室内を照らす。とはいえ、廊下そのも
のがうす暗いので、部屋のようすもやっと分かる程度だ。
きみのカンは当たった。わずかな光の中に、きみが眠っていたのと同じベッドが浮かび
あがり、そこには1人の男が横たわっていた。かすかな寝息も聞こえる。身体は寝具の中
だが首は外なので、男の髪が長く伸びているのが分かる。体格は、きみよりかなりよさそ
うだ。
きみは室内にすべりこみ、ドアをしめた。いや、しめようとした。だが、完全にしめれ
ば、ほとんど何も見えなくなってしまう。もちろん室内にも照明があり、そのスイッチの
位置は、きみには分かっている。
室内の明かりをつける
室内の明かりはつけず、廊下の明かりだけでがまんする