1億ドルの記憶
あらためてあたりを見まわすと、ここは海岸近くの倉庫地域だ。かりにやつらが追って
来ても、通りでは人目があるから、そうあらっぽいことはできまい。まだ安心はできない
が、とりあえず脱出には成功した。
そう思いながら、捕らわれていた建物を振り返ると、壁に稲妻と菱形を組み合わせたマ
ークがある。しかも、きみはそれをテレビのニュースで見たことがある。
「あれは……確か、暴力団光神会のマークだ」
自分自身については記憶がないのに、そんなことは覚えているらしい。
「光神会がなぜぼくを? それとも、ぼくはヤクザなのか」
きみは、疑問をいだいたまま、その場を足早に立ち去った。期待した通り、追跡者の気
配はなかった。
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