1億ドルの記憶
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インタラクティブノベル(R)No.3
1億ドルの記憶
備え付けの便箋には、ホテルの電話番号が印刷されていた。きみは、それを見ながらつ
づけた。
「これは冗談でもいたずらでもありません。じつは私、記憶を失なってしまったのです。
ポケットにあなたの名刺が入っていたので、お電話しています。私がだれだかご存じでし
たら、〇〇ホテルまでご連絡ください。電話番号は03−945−××××です」
きみは受話器を置いた。
数分後、その電話のベルが鳴った。受話器をとると、ホテルの交換からだ。
「市川さんからお電話です」
切り換えの音。市川の声。
「もしもし、市川昇です。さきほどメッセージいただいた方ですね?」
「はい、いまお戻りですか」
「いや、まだ出先ですが、うちの留守番電話はポケットベルと連動しているんです。かか
ってきたことが外でもすぐに分かり、録音内容を出先から聞けます」
そういうメカを期待していたわけではないが、テープだからといって切らず、きちんと
こちらの連絡先まで吹き込んだのは、正解だった。
「それで」と市川はつづける。「私、そちらのホテルから、あまり遠くない所にいるんで
す。30分後ぐらいにロビーでお目にかかれませんか」
もちろん、異論はない。きみとしては願ったりかなったりである。
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