1億ドルの記憶
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          インタラクティブノベル(R)No.3

    1億ドルの記憶

  ホテルの売店で、きみは5つほどのスポーツ紙を買い、ロビーでざっと目を通す。スポ

ーツ記事・芸能記事には、記憶を刺激し、甦らせるような記事はなかった。

  だが、最近のスポーツ紙は、一般紙の社会面的記事もけっこう載せる。その中に「淀田

商事事件、関係者はいま」という見出しがあった。

  わずかに戻った記憶では、淀田商事は金・ダイアモンドを老人に売りつけ、実際には預

かり証しか渡さず、悪徳商法で巨大な暴利をあげた。しかし2年前、ようやく批判が強ま

り、官憲の手が入るとともに倒産した。

  それだけでも十分話題になる事件だが、ワンマン会長が白昼斬り殺されるにおよんで、

当時の大ニュースとなった。

  とはいえ、〈自分がこの事件の被害者あるいは加害者あるいは関係者〉という記憶があ

るのではない。そういう形ではなく、何か別の形で――いわば“ゆきずり”で――かかわ

ったような気がするのだ。



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