1億ドルの記憶
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インタラクティブノベル(R)No.3
1億ドルの記憶
脱出後都内のホテルにとまったとき、くつを調べたことがある。あのときかかとから出
てきた鍵、あれがこの貸金庫用ではないか。
きみはスラックスの隠しポケットから、その鍵を出した。
「これでしたよね」
行員の顔から困惑が消える。
「はい、そうです。では、少々お待ちください」
彼は鍵を持って、店内奥へ去った。
(自分で行くべきだったか)
一瞬後悔したが、結果的には杞憂だった。ほんの4〜5分で行員は現われ、きみに封筒
をさしだした。
「これでしたよね」
故意か偶然か、さっきのきみとまったく同じセリフをいう。
きみはハサミを借りて封を切り、行員の視線を避けながら中を除く。
まちがいない。確かに1億ドルの小切手だ。
「これを、××銀行東京支店に送金してください」
それは、外資系銀行にきのうつくったばかりの偽名口座だった。差し出された用紙に必
要事項を記入すると、行員は金額に驚くようすもなく、かんたんに処理した。
きみは大香港銀行を出た。こんなにあっさりすむとは思わなかった。さっそく日本に帰
るか。1泊して休養をとるか。
いずれにせよ、啓徳空港には“敵”の手がまわっている可能性がある。公衆電話で船会
社に問い合わせると、きょうの横浜行き貨客船にキャンセルが出て、空席があるという。
専用客船ではないので定員が少なく、ふだんはなかなかとれないのだが……船の方が敵の
目をごまかせるかもしれない。
海路で日本へ
空路で日本へ
ホテルに泊まる
(ただし、香港を再訪してからすでにチェックインしたことがあれば、もう泊まれない。
海路か空路のどちらかを選ぶこと)