1億ドルの記憶
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    1億ドルの記憶

  脱出後都内のホテルにとまったとき、くつを調べたことがある。あのときかかとから出

てきた鍵、あれがこの貸金庫用ではないか。

  きみはスラックスの隠しポケットから、その鍵を出した。

「これでしたよね」

  行員の顔から困惑が消える。

「はい、そうです。では、少々お待ちください」

  彼は鍵を持って、店内奥へ去った。

(自分で行くべきだったか)

  一瞬後悔したが、結果的には杞憂だった。ほんの4〜5分で行員は現われ、きみに封筒

をさしだした。

「これでしたよね」

  故意か偶然か、さっきのきみとまったく同じセリフをいう。

  きみはハサミを借りて封を切り、行員の視線を避けながら中を除く。

  まちがいない。確かに1億ドルの小切手だ。

「これを、××銀行東京支店に送金してください」

  それは、外資系銀行にきのうつくったばかりの偽名口座だった。差し出された用紙に必

要事項を記入すると、行員は金額に驚くようすもなく、かんたんに処理した。

  きみは大香港銀行を出た。こんなにあっさりすむとは思わなかった。さっそく日本に帰

るか。1泊して休養をとるか。

  いずれにせよ、啓徳空港には“敵”の手がまわっている可能性がある。公衆電話で船会

社に問い合わせると、きょうの横浜行き貨客船にキャンセルが出て、空席があるという。

専用客船ではないので定員が少なく、ふだんはなかなかとれないのだが……船の方が敵の

目をごまかせるかもしれない。



  海路で日本へ



  空路で日本へ



  ホテルに泊まる

(ただし、香港を再訪してからすでにチェックインしたことがあれば、もう泊まれない。

海路か空路のどちらかを選ぶこと)