1億ドルの記憶
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インタラクティブノベル(R)No.3
1億ドルの記憶
「ところで」と、鈴音が心配そうな顔できく。「安西さんの遺志を、あなたがどうこうす
るとしたら、宇宙飛行の方はどうするの」
「それだけど……こうなんだ」
鈴音と最後に合った後、NASAからの手紙が届いていた。それを彼女に見せた。
日本人初の宇宙飛行士に選ばれたのは、きみではなかった。きみは“補欠”だった。補
欠でも、選ばれた1人と同様に、調整・待機しなければならない。2〜3日中にも、アメ
リカへ行かなければならない。行けば、打ち上げまで――少なくとも3か月――は、事実
上自由はない。
「でも、宇宙はあなたの小さいときからの夢でしょ。きびしい審査をパスしたんだし……
人の急病を待つわけじゃないけど、スペースシャトルに乗れる可能性が少しでもあるのな
ら、行かなくちゃ」
「きびしさの中身が、予想とだいぶちがったけどね。足が水虫だとだめだとか、虫歯が1
本でもあると失格とか……」
「……」
「宇宙飛行士に必要なのは、人類愛とか、グローバルな視点とか、創造的感性とか、科学
的――つまり批判的――精神とかだと思ってたのに……枝葉末節のアラ探し身体検査ばか
りで、ばかばかしかった」
「じゃあ、淀田商事被害者のために、ひとはだ脱ぐつもり? もしそうなら、アメリカで
はなく香港へ行かなきゃならないし、宇宙飛行士候補であることを放棄するわけね」
きみは、新しいCDをセットしながら答えた。
「それも迷ってる。香港行きの危険は辞さないけど、いま話した程度の情報で、成果があ
るかどうか。それより、被害者救済というほどぼくは正義漢じゃない。たんに冒険好きな
だけさ」
「宇宙飛行士に応募したのも、たんに冒険心?」
「うん。だから、審査はくだらなかったけど、補欠の座にも未練はある」
さあ、きみはどうする?
初志貫徹で、アメリカへ行く
(この場合、実際に宇宙を飛べる可能性は1/100)
1億ドルを求めて、香港へ行く
(この場合、1億ドル1人占めの可能性から生命の危機の可能性まで、いろいろある)