1億ドルの記憶
午前9時、ようやく銀行が開く。 きみは店内に入ると、英語で言った。 「8日前、××番の金庫を借りた者ですが、そのときの係の人はいませんか」 しばらく待たされたが、やがて見覚えのある行員が出てきた。さあ、ここが勝負だ。 「私は、8日前に××番の金庫を借りた安西明男です」 「ああ、覚えてます」 ホントかな? 忘れているくせに口からでまかせでは? しかし、それならそれでもい い。きみが鷹見ではなく安西だと思いこんでくれればいい。 「中身を出してきてくれませんか」 行員は少し困った顔をした。パスポートでも要求してくるだろうか。 「あのときご説明したように、鍵をお持ちいただかなくては……鍵さえあれば、私が貸金 庫室に入ってとってくるのはかまいませんが」 きみはそれらしき鍵を持っている 持っていない